• 2024年3月4日

東日本大震災の記憶

今年は新年早々に非常に大きな能登地震が発生しました。もうすぐ3月11日です。被災された方々には心よりお悔やみ申し上げるとともに我々も忘れてはならないしその経験を今後に生かさなければならないと思い、2011年3月11日に発生した東日本大震災の時のことを思い出しながら記憶をたどってみます。開院して1年足らずの時に発生しました。既に当時の記憶があいまいで詳細を覚えていないことに愕然としました。当院の午後診療は15時開始で、その少し前の休憩時間に地震が発生しました。小さな地震は時々起こっていたので最初はまた地震だ、というくらいの感覚でしたが横揺れが激しく立っていられないくらいですぐにちょっとやばい、今までとは違う、大きいぞととにかく長い時間横揺れが続いたのを覚えています。揺れがある程度おさまった後、診療が通常通りできるかどうか、電子カルテやX-Pの器械、リハビリの電気治療の器械の作動が問題ないかどうかチェックするように指示して通常通り午後診療を開始しました。その後も地震が続き短時間の停電が起きては、立ち上がるかどうか冷や冷やしながら電子カルテを起動する、ということを何度か繰り返したように思います。その時の午後診療の事やその日にどうやって帰宅したか、ということすら記憶があいまいでよく覚えていません。午後診療を開始したあと待合室のテレビで徐々に地震被害の状況や大きな津波被害が報道され、患者様や当院のスタッフたちが徐々にまずいまずい、ひどいことになっている、と騒ぎ始めたように思います。3月11日は金曜日で翌3月12日の土曜日も診療があったのですが、電子カルテをみると通常通り診療を行っています。3月14日からは計画停電が始まり、診療時間は10時から16時まで、紙カルテを作成して診療を開始しました。普段、紙カルテを使用していなかったためカルテの作成自体に時間がかかり、処方箋も手書き、レントゲンのオーダーも手書き、会計は後日清算と何もかもがスムーズに進まず戸惑ったことを覚えています。今では電子カルテだけでなくキャッシュレス決済、マイナ保険証での受付、今後予定されている電子処方箋等デジタルだらけの医療現場です。また、若いスタッフも増え昔のように紙カルテや手書きの処方箋、手書きのオーダーシステムを知っているスタッフが少なくなっておりひとたび何か事が起こった時にどのように動くか、ということが訓練されていませんし、考えすら浮かばないという状況になりかねません。これは医療だけに限ったことではありませんが、電子化が進んで便利になればなるほどそれが使えない状況になった時の対処法が難しいなあ、と考えてしまいます。非常時にどのようにクリニックを動かすか、ということを日頃から考えていなければ、と3月11日が毎年来る度に考えさせられます。避難訓練とともにそのような電気が使えない状況を想定した定期的な訓練も必要だと感じている次第です。

 次回は、地震発生時やその後のリハビリ室の状況について当時在籍していた現リハビリ科長の宮川に振り返ってもらいます。

医療法人社団暉英会 須藤整形外科クリニック 046-201-0822 ホームページ