肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)

症状

肩関節周囲炎とは、一般的には四十肩・五十肩と呼ばれています。
四十肩・五十肩になると肩甲骨と上腕骨を繋いでいる肩関節及び肩関節周囲に痛みが生じ関節の動きが悪くなります。
特に上の方に置いてある物を取る時や手を後ろに回した時などに痛みを感じやすくなるため日常生活に支障が出やすい疾患となります。

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)画像 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)画像

原因

四十肩・五十肩は老化に伴い筋肉や腱が劣化することで柔軟性が損なわれてしまうことが原因です。

治療方法

四十肩・五十肩は主に急性期→慢性期→回復期を経て改善に向かっていきます。そのため各段階に応じた治療方法を行っていく必要があります。
急性期では肩の安静を図り痛みを和らげるためにステロイド注射を打ち、急性期を過ぎたら温熱療法により肩の血行を良くし、少しずつ肩を動かしてリハビリを行います。
肩関節の運動制限が強く長期にわたる場合には関節包(関節を包む袋)や滑液包(関節の動きを良くする袋)が癒着や拘縮し、肩をあまり動かせなくなる「凍結肩」と呼ばれる状態になります。このような「凍結肩」に対して、最近ではサイレント・マニュピレーション(非観血的関節受動術)が積極的に施行される様になっています。サイレント・マニュピレーション(非観血的関節受動術)とは、肩周囲の近くを司る頚部の神経に麻酔をかけ、肩関節周囲が無痛になってから肩をあらゆる方向に動かして関節包や靭帯を徒手的に剥離させ拘縮を取り除く方法です。

自宅でできる簡単ストレッチ

四十肩・五十肩を予防するために簡単なストレッチ方法をご紹介します。

  • ① 椅子に座って背筋を伸ばして綺麗な姿勢をキープします。
  • ② その体制のまま下記画像のように肩をゆっくり上下に動かします。
  • ③ この動きを10回繰り返して行い、常日頃から肩甲骨の可動域を広くしておきましょう。

肩関節脱臼

症状

肩関節脱臼画像

肩関節脱臼とは、外部からの強い衝撃を受けることで、上腕骨とそれを支えている肩甲骨の一部である肩関節が外れてしまっている状態を意味します。肩関節は人体の中でも可動域が特に広い部分であるが故に、とりわけ強度が不安定で関節が外れやすい部分でもあります。そのため、人体で起こる全脱臼の内の半分以上は肩の脱臼が占めていると言われています。肩関節が外れると、激痛を感じます。無理に動かそうとするとなおさら痛みを感じてしまうため、外れた方の肩はダランと下がり、両肩の高さが合わなくなることがよくあります。

原因

肩関節は脱臼しやすい関節ですが、日常生活を過ごしていて、なんの前ぶれもなく外れることはありません。主な原因としては、ラグビーなどのスポーツをやっている際の衝突や、転倒時に前腕で体を支えた時などの衝撃で外れることが多いです。

治療方法

肩関節脱臼になった際は、クリニックにて整復をしてもらうことですぐに治すことは可能です。しかし治療をしてすぐはまだ肩関節の固定が弱いため、治療後3~4週間は肩を固定して経過観察を行います。

脱臼グセとは?

肩関節脱臼は若い時に発症すればするほど、再発をしやすい疾患です。なぜ再発を繰り返すのかというと一度外れた肩関節はいくら整体によって治しても、完全に治ることは少なく、脱臼をする前と比べて関節の固定が弱くなってしまうからです。そのため脱臼が繰り返し起こってしまうことを「反復性肩関節脱臼」と言います。この場合、治療方法としては手術が行われることもあります。

肩こり

症状

肩こりになると肩・首・背中に疲労感や重だるさが出てきて、特に首の可動域が限定されてしまいます。また、肩こりが重症化すると頭痛や吐き気、めまいなども引き起こす可能性があります。

原因

肩こりは、首周りの筋肉が収縮せずに固まってしまうことで、血流の流れが悪くなっていることが原因です。最近になり特にリモートワークをされる方が増えてきたことに伴い、PC業務中の姿勢不良が原因で徐々に肩こりで悩まれる方が増えてきており、肩こりは現代病といっても過言ではありません。

治療方法

薬物療法(湿布や局所麻酔)やマッサージ療法(こり固まっている筋肉をほぐし、血流改善を行う)を中心に施術していきます。
また、筋肉を覆う厚い組織膜である『筋膜』というものが存在します。筋肉をスムーズに動かすため癒着・萎縮してしまった筋膜を解きほぐすのが『筋膜リリース』です。御自分でできる『筋膜リリース』を指導したり、最近では超音波エコーを見ながら注射で『筋膜リリース』をしたりすることもあります。

肩こり予防体操

肩こりを予防するためには常日頃から筋肉を収縮させて柔らかくしておくことが大事です。
首が痛くなるとつい首周りの筋肉のみ揉みほぐしがちですが、実は肩甲骨の周りの大きい筋肉を意識してストレッチを行うことで、血流の流れは良くなります。
以下の画像に沿って、常日頃からストレッチを行うように心がけましょう。

  • ① 両肘をなるべく顔と同じぐらいの高さまで上げて、肩甲骨を引っ張るイメージで顔の前に腕を持ってくる。
  • ② 深呼吸をするイメージでゆっくり腕を後ろに持ってくる。
  • ③ この状態のまま約5秒間両肩の肩甲骨をくっつけるイメージでキープする。

※①~③を起床時と就寝時に5回ずつ行います。

肩こり予防体操画像

石灰沈着性腱炎・関節炎

症状

石灰沈着性腱炎による症状には、急性の症状と慢性の症状があります。急性の症状では激しい痛みが急に生じ、肩をわずかにでも動かすことができなくなります。また、夜間に痛みが強くなるため睡眠も十分にとれないことがあります。慢性の症状では肩を動かした時の痛みやひっかかりが主な症状となります。

原因

石灰沈着性腱炎の原因は不明です。使いすぎやケガが原因になることはなく、糖尿病や甲状腺機能障害など内分泌疾患との関連があるとされていますが、ほとんどは原因が見当たらない方が多いです。

治療方法

石灰沈着性腱炎は自然に軽快することが多く、まずは痛み止めの内服、ステロイドの注射、理学療法(リハビリ)が行われます。疼痛が強い場合には、超音波で患部をみながら石灰に注射針をあてて石灰を砕く操作を行ったりします。改善しない場合には、体外衝撃波療法や鏡視下石灰摘出などを行います。