変形性膝関節症

症状

変形性膝関節症画像

変形性膝関節症とは、膝でクッションの役割をしている関節軟骨が、長い年月にわたって少しずつ加齢などにより擦り減ってしまい、痛みを感じてしまったり、膝に水がたまったりする病気です。初期の頃は膝に違和感を感じ、動かしにくいなどの症状が現れます。その後時間の経過と共に膝の痛みが強くなっていき、最悪の場合歩いたり、しゃがんだりすることも困難になります。

原因

変形性膝関節症の原因としては、加齢や肥満、または外傷素因(遺伝子)などが関係しているとされています。とりわけ40代以降の女性に多いことが特徴です。関節軟骨内の水分が減少することによって、軟骨のクッション性が失われ、少しずつ擦り減っていきます。

治療方法

基本的には鎮痛剤や湿布などの薬の服用やリハビリテーション、ヒアルロン酸の関節内注入などの保存的療法で治療を進めていきます。しかし、症状の重症度によっては手術を行って治療をすることも検討します。手術には、残された膝関節の機能を最大限活用させるための手術(骨切り術)と人工関節に置き換える手術があります。最近では、自分の血液を用いる先進的な再生医療『PRP療法』も行われるようになってきています。

予防対策

常日頃から膝の柔軟性を保ち、膝にかかる負担を減らしてあげることが大切です。

【膝のストレッチ方法】

  • ① 仰向けになり、膝を画像のように両手で抱えます。
    膝のストレッチ方法画像
  • ② その状態のまま、ゆっくりと胸の方へ無理がない程度に近づけて、5秒間キープします。
  • ③ 以上の動作を10回程度繰り返し、その後逆足でも同じ動作を行います。

ジャンパー膝

症状

ジャンパー膝とはバレーボールやサッカー、バスケットボーなどジャンプやダッシュの動作が多く膝を酷使するスポーツ選手に頻繁にみられる病気です。(別名:膝蓋腱炎)
症状としてはジャンプや着地、長時間走行時などに膝のお皿(膝蓋骨)のすぐ下に痛みが生じます。このため、スポーツ時に全力を出すことができなく、パフォーマンスの低下に繋がることが多いです。また、うつ伏せの状態でゆっくりと膝を曲げても同様に膝下に痛みが出ることが特徴です。

原因

膝蓋腱炎の主な原因は、膝の使いすぎです。膝の曲げ伸ばしは太ももにある大腿四頭筋の伸縮が必要不可欠です。それと連動するように膝蓋靭帯も同時に伸縮することで膝を曲げることができるようになります。この回数が多くなったり、ジャンプなど大きな負荷がかかることで、徐々に膝蓋靭帯が小さな傷ができてしまい、結果として炎症を起こしてしまい、痛みが発生します。

ジャンパー膝画像 ジャンパー膝画像

治療方法

膝蓋腱炎の治療で一番大切なことは、膝への負担を減らし、使い過ぎを避けることです。ストレッチなどの運動療法や鎮痛剤などの薬物療法を行いつつ、可能であれば2週間~1か月の休養を取り、しっかりと治療に専念することをおすすめします。症状が強い時には、局所の注射を行うこともあります。

予防対策

太ももの筋肉は膝とつながっているため、硬い状態のままだと膝に負担がかかりすぎてしまいます。そのため太もものストレッチをしっかりと行って、筋肉を伸縮しやすくさせることが大切です。また、各スポーツ動作のフォームをチェックすることも大切です。

【太もものストレッチ方法】

  • ① 壁や柱に手を付きながら、画像のように片足立ちをする。
  • ② その状態のまま10秒間キープする。(この間は目線は真っすぐ前を向く)
  • ③ その後逆足でも同じ動作を繰り返す。

膝内側・外側靭帯損傷

症状

症状は、まずは膝の強い痛み(膝の内側の痛みであれば膝内側靱帯損傷、膝の外側の痛みであれば膝外側靱帯損傷)が出ます。膝外側の痛みに加え、膝の腫れや運動制限も起こります。その他特徴的な症状としては、「膝が抜ける感じ」など不安定感や違和感です。
このような感覚が出ると、運動に対する恐怖感も生まれます。

ジャンパー膝画像 ジャンパー膝画像

原因

膝に向かって折れるような負荷や膝を捻る動作が原因です。具体的には、サッカーやラグビーなどでタックルを受けた時に起こり、柔道や相撲など相手に倒された時に、このような負荷がかかっても起こります。日常生活ではあまり起こる怪我ではありませんが、交通事故などで起こることがあります。

治療方法

保存治療を行います。サポーター(膝動揺性抑制装具)を装着して、早期から痛みのない範囲で可動域訓練を行い、筋力低下をとどめるようにします。受傷初期は、疼痛緩和と安静を兼ねてギプス固定を行うこともあります。膝関節内に存在するACL(前十字靭帯)やPCL(後十字靭帯)との複合靭帯損傷では不安定性が顕著になるため、再建術を施行する場合もあります。

予防対策

足の筋肉を鍛えることで、膝関節を安定させられます。
大腿四頭筋やハムストリングスをはじめ、下半身の筋肉を鍛えられるスクワットを行うのがおすすめです。

【スクワットのやり方】

  • ① 肩幅程度に足を広げて、真っすぐ立つ。
  • ② 背筋を伸ばして、息を吸いながら体をゆっくりと下げる。
  • ③ 太ももと地面が平行になったら少し止まり、ゆっくり体を戻す。
    膝のストレッチ方法画像

オスグッド病

症状

オスグッド病画像

オスグッドは、正式名称を「オスグッド・シュラッター病」といいます。オスグッド病は小中学生男子に多い膝のオーバーユースによる成長期スポーツ障害の代表疾患です。特にサッカーやバスケットボール、バレーボールなど、膝への負担が大きいスポーツ種目で多くみられます。男女比では男子に多いのが特徴です。
膝のお皿の骨から数センチ下の部分の腫れ、運動時の痛みが主な症状です。ケガではなく繰り返すスポーツの負荷によっておこるスポーツ障害です。

原因

成長期の子どもがジャンプやボールを蹴るスポーツをし過ぎると発症します。子どもの骨は、柔らかい骨から硬い骨へと成長する過程にあり、不安定な状態です。また、骨の成長スピードに対して筋肉や腱の成長が追いつかず、アンバランスな筋骨格構造になっており、そこに過剰な運動による負荷が加わることで、膝の痛みが起こるとされています。ほとんどの場合、成長が終わると痛みが治まりますが、無理をすると成長期が終わってからも痛みが残ることがあるので、適度な休息と適切なケアが必要です。

治療方法

治療方法は痛みが強く運動がつらい時は安静も必要ですが、太腿の前面の筋肉が硬いと症状が長引いたり、再発しやすいため日々のストレッチが重要です。症状の悪化を防ぐために大腿四頭筋のストレッチや患部のアイスマッサージを行います。痛みが強い時には、痛み止めの内服や湿布を使用することもあります。痛みが軽減すれば、スポーツを再開することもできますが、発症後3~6か月はスポーツをすると症状が強くなります。スポーツの前後にストレッチングやアイスマッサージをしたりオスグッド用のサポーターを装着したりすることが重要です。

予防対策

オスグッドのようなスポーツ障害は、日頃から予防に取り組むことが重要です。以下の予防法を意識しましょう。

  • 練習メニューを見直す・調整する
  • フォームの確認をする
  • ゆっくりと適度なストレッチをする

【大腿四頭筋のストレッチ】

  • ① 左手で左足を持ち、ゆっくりと後ろに引きます。
  • ② 太ももの前が伸びているのを意識しましょう。
  • ③ 反対側も同様に行います。

※壁に両手をついて行っても可

大腿四頭筋のストレッチ画像