足関節捻挫
症状
足関節捻挫とは、日常生活またはスポーツ時に足が地面に着く際に、捻ってしまうことを言います。捻挫は軽く見られがちな疾患の1つではありますが、放置することで足首の靭帯が伸びきってしまい、より捻挫をしやすくなってしまいます。また、捻挫をすると軽症の際は一時的な痛みで済みますが、重症の際は患部が強く腫れて青あざのような状態になります。
原因
捻挫の原因の多くは足を内側に捻ってしまうことですが、まれに足を外側に捻ってしまうケースもあります。足を捻ってしまうことで、靭帯が伸びきってしまいますが、最悪の場合靭帯断裂の可能性もあります。
まれに靭帯が骨に付着する部位に剥離骨折を起こすこともあります。足関節捻挫は靭帯が引き伸ばされる程度のⅠ度捻挫、靭帯の一部が切れてしまうⅡ度捻挫、断裂してしまうⅢ度捻挫に分類され重症度により治療法や治癒までの期間が異なります。
治療方法
足首を捻挫した際は、初期の場合はRICE処置を行うことが良いとされています。
【RICE処置】
- R:患部に負担がかからないように、安静にします。
- I:患部を冷やして、腫れを最小限にとどめます。
- C:患部を包帯などで圧迫することで、腫れを防ぎます。
- E:患部を心臓よりも高く上げることで、腫れやあざを軽減します。
もし捻挫の重症度が高い場合は、専用の足首サポーターを装着して足首の固定を3週間ほど行って、靭帯の経過を観察します。また稀に、不安定性の強いものには手術を行うこともあります。
予防対策
常日頃からストレッチを行うことで、捻挫のしにくい足首を形成ることが可能です。
【足首のストレッチ方法】
- ① 椅子や床に座り、ストレッチを行う方の足を画像のように体に近づける。
- ② 足首を右回りで10回、左回りで10回ぐるぐると円を描くように回す。
- ③ その後逆足でも同じことを行う。
外反母趾
症状
外反母趾とは、足の親指が小指側に曲がり、親指の付け根部分が内側に突出するために腫れや痛みを感じる疾患です。外反母趾が悪化すると歩くだけで痛みを伴うようになり、その後足裏にタコが出来たりします。
原因
外反母趾の原因はほとんどがハイヒールなどの先の細い靴を履くことによって発症します。そのため発症患者の9割以上は女性であることが特徴的です。外反母趾が悪化するとハイヒールではない靴を履いたとしても痛みを感じるようになります。
遺伝的要因による外反母趾もあります。足のアーチが崩れている偏平足や開張足の人が外反母趾になりやすいと言われています。
治療方法
外反母趾の治療方法は、原因を取り除くことが第一です。
先の尖ったハイヒールなどを履くことはやめて、なるべくゆとりのある靴を選ぶことが大切です。その上で自分の足に合わせた中敷き(インソール)を挿入し、足裏から変形した部分を矯正してあげる療法を行います。
アキレス腱断裂
症状
アキレス腱断裂とは、足首の後ろ側にあるアキレス腱が切れた状態のことを言います。アキレス腱が切れる瞬間は靭帯が切れる時と同様に「ブチッ」といった衝撃音が聞こえることがあったり、アキレス腱を蹴られた感覚があったりします。また、その切れ方は完全断裂と部分断裂があり、アキレス腱が切れると痛みと共に歩けなくなります。
原因
アキレス腱が断裂する原因は若年層ではスポーツ時に踏み込んだ時やジャンプをした時などアキレス腱に高負荷がかかった時に切れることが多いです。高齢層の場合は、スポーツ時ではなく、日常において階段を踏み外した時や、転倒の際に断裂してしまうことが多いとされています。
治療方法
アキレス腱断裂の治療方法は、手術を行わずにギプスや装具を用いて治療する保存的療法と断裂したアキレス腱を直接縫合する手術的療法があります。
長期的にみればどちらの治療を行っても半年~1年ほどで元の状態まで回復することは可能ですが、アキレス腱断裂の再発率で見ると、手術的療法での治療の方が低いです。
基本的には専用の装具を装着した上で、松葉杖を使い、アキレス腱に負担が掛からないようにして治療を進めていきます。
予防対策
アキレス腱とつながっている下腿三頭筋という筋肉のストレッチを行うことで、柔軟なアキレス腱を形成することができます。
【下腿三頭筋のストレッチ方法】
- ① 真っすぐ立って、右足を体の後ろへ下げる。
- ② その状態のまま前を向きながら、膝に手を付き、ゆっくりと重心を下げる。
(この時に下げた方の足のかかとは地面から離れないようにする。) - ③ その状態を約10秒キープした後に、下げる足を変えて同じ動作を行う。
アキレス腱炎
症状
アキレス腱炎とは、ふくらはぎ(下腿三頭筋)とかかとの骨である踵骨(しょうこつ)を繋ぐアキレス腱がなんらかの原因によって炎症が起きている状態をいいます。アキレス腱の痛みや腫れ、熱感を伴い時にはしこりを触れることもあります。スポーツされている方に多くみられ、特にジャンプ動作や急な切り返し、走る動作などを伴うスポーツをされている方に多いとされています。症状は、スポーツをしている時にかかと付近が痛い、つま先立ちした時や歩き始めにかかとが痛いなどの症状があります。
原因
アキレス腱炎はオーバーユース(使いすぎ)が原因で起こります。また、靴が合わない、フォームが崩れている、偏平足、加齢、肥満であるなどの条件が揃うとアキレス腱炎になるリスクが高くなります。
治療方法
安静にして過度な運動を中止し、アイシング、外用剤や消炎鎮痛剤の服用など保存的治療を行ないます。治りにくいと診断された場合にかかとの部分を高くした中敷きを使うと、アキレス腱の過度な緊張を緩めることができます。
重症のアキレス腱炎の場合は、小さな血管と神経が一緒になって増えて痛みの原因になっていることが知られており、この異常に増えた新生血管を標的とした運動器カテーテル治療が効果的であることが分かってきました。
また、似た症状で「アキレス腱周囲炎」というものがあります。炎症が腱自体ではなく腱の近くの組織(パラテノンというゼリー状の組織や皮下脂肪)に生じる病気で、診断ではアキレス腱炎と区別しますが、アキレス腱炎と同様の保存療法を行うことになります。
アキレス腱付着部炎
症状
アキレス腱付着部炎とは、アキレス腱とかかとが付着している周辺部分に痛みが生じる病気です。足首を上向きに曲げたときに強い痛みが生じるため、歩いている時や靴を履いている時などに痛みを覚えることがあります。
原因
アキレス腱付着部炎の原因は、かかとの骨に付着する部位でアキレス腱が絶えず引っ張られていることにあります。太り過ぎていることや、運動による酷使によって、ふくらはぎの筋肉が拘縮したり、短くなったりしているとリスクが高くなります。
治療方法
アキレス腱付着部炎の治療は保存的療法を基本とします。ふくらはぎの筋肉やアキレス腱のストレッチ運動や靴の中敷きで歩行時の腱の痛みと腱にかかる負荷を軽減する装具療法などがあります。症状によっては、消炎鎮痛剤の服用やステロイド注射などを行います。
足底筋膜炎/扁平足
症状
足底筋膜炎とは、足底腱膜と呼ばれる足の裏に存在する腱膜が炎症を起こした状態のことです。主な症状は、歩くと踵から足底が痛い、足の裏を圧迫すると痛い、夕方になると痛みが強くなる、運動後や運動翌日が痛いなどが挙げられます。
原因
足底腱膜炎は、ランニング動作を中心に陸上競技に多い障害です。
ふくらはぎの筋肉や足底腱膜が硬い、扁平足、土踏まずが高い足の方は、ランニングや歩行などで足底腱膜に強いストレスが加わります。
このストレスが繰り返されること(オーバーユース)で、足底腱膜と骨の付着部分に炎症が起こり、痛みの発生につながることがあります。
治療方法
保存的療法が基本です。保存療法とはストレッチや筋力トレーニングを行う運動療法、電気刺激などを利用した物理療法、薬や湿布などの薬物療法、インソールなどの装具療法です。痛みが強い場合は、ステロイド注射を行います。
最近では難治性の足底筋膜炎に対して対外衝撃波治療が施行されたりしています。(皮膚の上(体外)から非連続性の圧力波である衝撃波を照射し痛みを感じる自由神経終末という神経を変性させ疼痛を軽減させる方法)
外脛骨障害
症状
外脛骨障害とは、足部内側にある骨性の隆起が認められ、その同部に自発性の痛みを伴う病気です。症状としては訴えが多いのは体重をかけた時の痛みです。歩くと痛い、走ると痛い、しゃがむと痛い、立ち仕事での痛み。などが挙げられます。症状が悪化してくると足首を少し動かしても痛みが出たり、安静時の痛みが出る方もいます。
原因
過度の運動により外脛骨が過剰な刺激を受けると、炎症を生じ、痛みが生じると考えられています。また扁平足の方や、ジャンプ動作や急な切り返し、走る動作などを伴うスポーツをされている方、下肢の筋力が弱い方、女性などが多いとされています。
また捻挫や打撲などの外傷がきっかけで、これまで痛くなかった外脛骨に炎症が起き、「有痛性外脛骨」となることも知られています。
治療方法
発症初期には運動制限や安静を行いますが、症状が継続する場合には、ステロイド注射を行ったり、外脛骨部への刺激を軽減する目的でインソールを使用します。